太極拳

太極拳と私

太極拳との出会い
云十年前、長崎の活水女子短期大学音楽科(現在、活水女子大学音楽学部)で声楽を学んでいた私の最大の悩みは「呼吸法」でした。呼吸法の勉強のためにいろんな事を試みた結果、たどり着いたのが太極拳です。

初めの印象
最初の練習で行ったのは、立式でした。初心者の場合、このポーズを続けていると、1分もすれば膝がガクガクしてきて大変です。私は、どうしてこんな変な格好をするのだろうと不思議でしょうがなかったのですが、とにかく先ずはやってみよう!と自分に言い聞かせていました。
そんな練習を重ねていくうちに5分、10分…と立式が持続できるようになり、体は動かず静なる状態でも、体内は動である事に気づき、内から湧き出てくるエネルギーを感じられるようになりました。

それからというもの
太極拳が面白くなり始めたのは、3年程経ってからです。型を覚えるのに必死だった時期を過ぎて余裕が出始めると、太極拳の奥深さに興味がわくようになり、もっと窮めたいという気持ちになりました。そして、太極拳が私の演奏にどのように活かせるかを試したいと考え始めたのです。

舞台で
本番前は、大変緊張します。私の若かりし頃、本番の前日などは、緊張のあまり眠れませんでした。その緊張がピークに達する本番当日は、食欲は減退し、誰とも口が利けないほどコチコチになっていました。こんな状態では、日頃の練習の成果など出せる訳がありません。当時、本番に弱かった私は、何とかこの状況を打破しようと必死でした。緊張は自我だそうです。自分の演奏の未熟さを知っていた私の過度な緊張は、何とか自分を少しでも良く見せようともがいていた結果だったのかもしれません。
太極拳で心身ともに柔軟になり始めた頃、自分に対する見方も変わりました。「今の自分以上でも以下でもない、自然体の素のままの自分が出せれば、それで良し!」この気持ちは、向上心へと変わっていきました。そして、本番前の演奏に対する集中力も増してきました。もちろん緊張はします、でも、本番の前日は、「明日の本番のための良いコンディション作りのために今夜は眠る」事に集中でき、本番当日は、「本番で日頃の練習の成果が出せる」事に集中できるようになりました。例えば、お喋りをして気を紛らわす、声の調子が良くないからお喋りはしない、お腹を満たして体力を保持する…など、常にその時々の状況に合った、自分の心と体に意識が向くようになったのです。このように自分が変わった基の一つには、立式で得られた内なるエネルギーの成果があるのではないだろうかと思います。

呼吸について
感情の変化によって変わる呼吸、例えば、極度の緊張の時、怒った時、悲しい時、嬉しい時、穏やかで優しい気持ちの時などの呼吸を意識する事はありますか?
歌う時、太極拳を行なう時、人と接する時、感情の変化が起きた時など、ひたすら呼吸を見守り続けているところです。

指導者として
私が行なっている太極拳は、簡素化されず、気の流れを重視し、綿綿と受け継がれた歴史ある型を崩さず、全身くまなく動かすものです。型から入りますが、型に囚われない奥深さがあります。心身ともに自然体でしなやかで強く、柔らかく、優しくなる、人に見せるためではない自分自身のための太極拳です。
やればやるほど難しい初級(一段)。難しい一段に挑戦し続ける私です。心身を内観しながら呼吸で各箇所をしなやかに緩め、風通しの良い身体にして外観を生きる。地味なものながら、生活に密着しています。

太極拳指導中の大屋省子

太極拳指導中の大屋省子


一度、教室をのぞいて下さい。
指導団体:日本太極拳法一楽庵本部

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